GC

 

“GC” was created in an attempt to connect “small architecture” and “large architecture.” In contrast with the common, uninspiring “large architecture” which is based on the texture mapping on concrete boxes, I have challenged “small architecture” as a place to pursue an expression of architecture which is more structural, where material itself is its structure. I built an actual building by upgrading the system of the traditional Japanese toy “chidori-goshi,” which is assembled without any nails and adhesives but only by the action of twisting wooden sticks with specifically shaped joints. “GC” is a part of a system that creates “large” architecture by combining “small” toy-like units.

 

GCチェアは研究センターのプロジェクトのためにデザインされた椅子です。この研究センターの建築物は、日本の伝統的な千鳥格子が、空間の基本構造となっています。千鳥格子はとても複雑な仕口です。伝統の指物技術によって角材を3方向から交差する点で組み合わせたものを連続させ、立体的にも格子に包まれた空間となっています。

この椅子は座面にも木を使い、背もたれは1本の笠木があるだけの簡潔な、木工だけで出来た椅子です。構成はとてもシンプルですが、スタッキングという機能が求められました。単純な構成の中にこそ難しさが潜んでいます。それが簡潔という意匠の難しさです。できるだけ簡潔な構造と意匠性を保ちながら長期使用に耐えられるだけの強度が求められました。実際にこのような細いフレームで強度が成立している椅子はあまり多く存在しません。椅子の構造も木材だけで構成されている為に金物などの強度を担保するような構造にはできません。そこで後脚と座枠を繋ぐ接合部である仕口に2枚ホゾの構造を取り入れました。この2枚ホゾの利点は複雑な構造にはなりますが、後脚と座枠の仕口の接合面積が1枚ホゾやダボ組の2倍近い接合面が確保できる点にあります。それぞれの部材が多くの接着面を確保する程に強度は高くなります。しかし、元々が細い部材を使っている為に2枚ホゾにすることで多くの削りが必要になり繋がって強度を持たせている木目の繊維を切ってしまうことにもなり、その仕口の作りが強度を左右することになりました。何度も検証と試作を繰り返し完成したGCチェアの強度はしっかりと担保されています。今ではホテルや公共施設などでハードユースされるような現場でもGCチェアは長年の使用に耐え、活躍しています。千鳥格子の空間の中にあるGCチェアは、木部の質感が同調しとても良く空間に馴染んでいます。スタッキングした姿も美しい椅子になりました。

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